怖くなって遠くに行きたくなった。
車に飛び乗って、とある神社に向かいました。
そこは幼少期から祖父や身内によく連れられて行った親しみのある神社。
大人になってもつらいときやいいことがあったときは
よく参っているところです。
その向かっている途中にとあるヒッチハイカーさんを見つけました。
はじめは通り過ぎたのですが、フリップに書かれているのは
一時間ほど走った隣の県が目的地。
今は特に時間に追われているわけでもないので折角の機会だから
乗せてあげようとUターンして迎えてあげました。
彼は29歳、私より少し歳下の方で
スマホなし。身分証なし、金なしと書かれたフリップと
大きなリュックが目に入りました。
目的地まで向かうことに
私もこんな経験は初めてだったので、少し緊張していました。
しかし私が退職しなければ彼と出会うこともなかったと考えると、これも縁だな。
話してみると専業ヒッチハイカーとのこと。
なんじゃそれはと最初は思いましたが、話していくと彼は全国(沖縄、北海道のぞく)を一県ずつ回っていてなんと現在5週目と!
車に乗って人との出会いを楽しんで旅をしていると話してくれた。
自然と私も退職してドライブをしていることを話した。彼は楽しそうにこれも巡り会わせですねと
明るい口調で話していた。
そこからはお互いの事話しつつ、なぜヒッチハイクなのかと聞いてみたら
「ヒッチハイクが楽しくて続けられてる」
胸を張っていった彼に子供心満々やなと答えて二人で笑ったけれど、自分には胸を張って言えない言葉
だったので衝撃だった。
そして自分のことも話した。
結婚を控えているのに仕事を辞めてしまったこと。
ブログをやり始めたこと。
身内には言えないことをたくさん話した。
そうすると彼が言った一言が胸に響いた。
「お兄さん考えるの好きなんですね、考えないやつはそこまで考えません」
考えすぎだといわれてしかられたり、煙たがられたりしたことはあったが、
考えるの好きやろ!と言われるのは初めてだった。
確かに特に答えの出ない嫌な問題を無限に考えて一人でつぶれるのは得意な方だ。
でも確かに身内や友人を喜ばせたいと思った時もめちゃめちゃ考える。
「ビジネスで考えれるようになったら強いんじゃないですか?」
気づきそうで気づけなかった答えがまたしても飛んできた。
今後どうすれば食っていけるんやと考えたことは腐るほどあるけど
これはたぶんビジネスではないよなたぶん、でももしそれが出来たら
誰かに喜んでもらえるビジネスを考えれたらそれはすごくいい。
そんなこんなで目的地へ。
そこそこ日も出ていたのでこれからの応援、新鮮な経験、面白い話を聞かせてもらったお礼もかねて
熱中症対策に飲み物とドリンクを買い、少し話して帰るときに
「シャワー浴びれて、布団で寝れるだけでも十分幸せじゃないっすか」
彼がそれ言うと説得力しかなかった。
私にはぶっちゃけそこまで出来るか言うと微妙だけども、失ったことをうじうじ大丈夫かなと言ってる
自分にもまだいろいろあるじゃないかと、ノースキルだと思っていたけど車の免許もってるやんみたいな
本当に失うものなくなってからが人は強いんですよ頑張ってください!と言って彼は次のヒッチハイクポイントに向かっていった。
何から何まで衝撃だった
畑が違うなんてレベルじゃなくそもそも同じ人間なんだろうかって思うくらいだった。
でも自分が落ち込んでいるタイミングでこんな機会に恵まれるなんて思わなかった。
今の自分は大事なものを失った、それを別の形で取り返すと躍起になっているが、
ちょっと考え方が変わった。
仕事の安定は失ったけど、全部が全部失ったわけじゃないし、むしろ時間の余裕が生まれた。
彼のように最低限のものでワイルドにヒッチハイクの旅!なんてのは出来そうにないが
真に自分が取り組めることを彼のように見つけることを目標にして頑張っていこうと
助言をいただけたと感じた。
もちろん帰りは目的地だった神社に参拝し、いい出会いを与えてくれたことを心から感謝(あと妻とも仲良くできるように)し、短い旅を終えた。